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自由とは「何をやっても良い事」だと思っていて、「責任や道徳があっての自由」は、“そんなの自由じゃねーじゃん”とバカなオレは考える。本来、人間はナニモノからも自由だ。

不完全性定理によって「この世界(系)の中に完全なモノは無い」という事が証明されているので、もし神が「完全な存在」だとしたら神はいない事になる。神がいなければ「人」を規定するモノは無い。

描かれていたノマドは、自由な一面もあるが、寧ろ不自由に見えた。そうさせているのが「カネ」だ。定期的にAmazonで働き、時には便所掃除をしている主人公だが、教員免許があるなら教師になった方が、はるかに自由度が高い生活ができそうに思える。何度も家庭にはいるチャンス(?)もあった。しかしそれをしなかったのは「自分の生き方」を貫きたかったからだろう。

理不尽や不条理で固められた社会への挑戦ともとれた。どんな人生を生きるのかを問いかけてもいた。全編通してのあらゆる場面の設定やセリフに違和感は全く無く、ノマドの人達のセリフはホンモノだけに自然だった。

世間に合わせ、場の空気を乱さず、言葉でさえ自由ではない現代社会に、屈しない強い生き方を貫いていたと思う。生きにくいけれど戦うことによって得られる本当の「強さの中の美」を描いた傑作だったと思う。