銀座とBARと煙草

先日、久しぶりに銀座で飲んだ。

いつもは後輩の「GUNROOM」に行くのだが、その日は友人の行きつけのBARを選んだ。

それまで寿司を食いながらビール、日本酒、焼酎と飲んでいたのでほろ酔いでイイ気分だった。

そのBARについたのは23時過ぎだった。

カウンターに座り、やっと煙草が吸える、と思った。

ところが、

「禁煙です」

「えっ、どうして? 」

コロナを契機にオーナーが禁煙したので、と言う。

オレは禁煙がどんなに進んだとしてもBARだけはそうならないと思っていた。

しかも銀座だ。

そもそもオーナが吸うか吸わないかは客には関係ない。

それに煙草が吸えないBARはBARと言えるだろうか?

酒を飲みたいだけなら1/10以下の金額で飲める。

客は「場」を楽しむために行くのだ。

ちょっと暗めのオレンジ色の灯り、重厚な木のカウンター、個性的な1本1本のボトル、ジャズが流れる店内でシェーカーが響く。磨かれたグラスと琥珀色の魅惑的な液体。ゆったり漂う煙草の煙。

時がゆっくり流れる。

どれひとつ欠かすことはできない。

ニコチンを体内に入れたいわけではないのだ。

結局、1杯だけ飲んで帰ることになってしまった。